1.事故発生
田辺市在住の女性(40代)が自動車を運転中、信号待ちで停止していたところ、前をよく見ていなかった加害者運転の自動車に追突されました。依頼者は、頚部挫傷・腰部挫傷・胸部挫傷等の傷害を受けました。
2.相談・依頼のきっかけ
依頼者は、事故から約1ヶ月後に、今後の通院や示談交渉についてどのようにすればよいか分からなかったため、インターネットで当事務所のホームページを見て、相談されました。
3.当事務所の活動
依頼者は、事故から約3ヶ月で、相手損害保険から治療費の立替払を一方的に打ち切られました。
しかし、まだ痛みなどの症状が強く、主治医もなお治療が必要とのことでしたので、当事務所のアドバイスにより、健康保険に切り替えて治療を続け、事故から6ヶ月余りで症状固定となりました。
依頼者は、症状固定時においても頚部挫傷後の頚部や腰の痛みなどの後遺症状が残りましたので、当事務所で後遺障害申請をし、無事、併合14級の後遺障害の認定を受け、自賠責から後遺障害分75万円の支払いを受けました。
さらに、できる限り裁判基準での賠償を受けられるよう、当事務所で積極的に示談交渉を行いました。
4.当事務所が関与した結果
依頼者は、多少無理をしてでも勤務を続けていたため、休業損害はほとんどなく、示談交渉では、通院慰謝料や逸失利益などが争点となりました。
示談交渉の結果、最終的には、裁判基準に近い約150万円(自賠責分75万円と既払い金約39万円を除く)での示談がまとまり、自賠責分75万円と合わせると約225万円(既払金を除く)の賠償を受けることができました。
5.解決のポイント(所感)
いわゆるムチウチ症のような神経症状で後遺障害等級の認定を受ける場合、審査機関は、通院期間などを厳しくチェックしているようで、少なくとも6ヶ月以上の通院期間がないと、まず後遺障害は非該当と認定されてしまいます。反対に、通院期間が長いほど、後遺障害が認められやすいような傾向があります。
しかし、相手方損害保険が6ヶ月未満で治療費の立替払いを打ち切ってくることは、しばしばあります。
そのような場合でも、主治医がなお治療の必要性を認めているようなときは、健康保険に切り替えてでも(通勤災害や業務災害の場合は労災に切り替えて)、治療を続けたいところです。
ただ、労災に切り替えた場合は問題ないのですが、健康保険に切り替えた場合、一旦自己負担された治療費が、後日、自賠責や相手方損害保険から必ず回収できるわけではありませんので、治療を続けるかどうかは、慎重な判断が必要です。
今回のケースでは、MRI画像上、脊柱間狭窄等の所見が認められましたので、健康保険に切り替えて通院を続けることになり、後遺症状が残ってしまったものの、後遺障害14級の認定を受けることができました。
交通事故に遭い、今後について不安なことがあれば、早めに、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。