1.相談・依頼のきっかけ
20代の男性が、青信号に従って交差点を単車で直進していたところ、対向から前をよく見みずに右折してきた自動車に衝突され、亡くなられました。ご遺族から、加害者が許せないとのことで、当事務所に相談されました。
2.当事務所の活動(1)
ご遺族としては、なによりも加害者側に相応の処罰を受けてもらいたい、とのご意向を強くお持ちでした。そこで、加害者の刑事裁判への被害者参加を行なうことにしました。
加害者の刑事事件記録を取り寄せ、事故の原因となる加害者の過失の状況をご家族にお伝えしました。また、ご家族とともに検察官と複数回打ち合わせを行い、刑事裁判に臨みました。
結果的には、ご家族の希望よりも軽い判決になりましたが、それでも、刑事裁判の法廷の場で、加害者に対し、ご家族の言葉でその嘆きや悲しみの大きさを直接聞かせることができたり、裁判官に対し、ご家族の希望する判決内容を求めたりすることができ、それなりの意義はあったのではないかと思います。
3.当事務所の活動(2)
刑事裁判の終了後、遺されたご家族が適正な賠償を受けることができるよう、当事務所で示談交渉を行いました。加害者側には加害者側損害保険の弁護士が付きましたので、弁護士間で示談交渉を行なうことになりました。当初、加害者側弁護士は、慰謝料について、2000万円と主張したり、被害者側の過失割合を15%と主張したりして、最終的な賠償額を5200万円余りと主張してきました。
これに対し、当事務所は、慰謝料について、突然命を奪われた被害者本人の精神的苦痛が甚大であることや、遺されたご家族の悲しみが深いことなどを積極的に主張し、慰謝料の増額を求めました。また、交通事故に至るまでの加害者側の過失が大きいことや、前方不注視の程度が大きいことなどを主張し、過失割合についても修正を求めました。
このような交渉を何度も重ね、過失割合を被害者側10%とすることなど、一定の譲歩を引き出すことができましたが、加害者側弁護士は、最終的な賠償額としては示談交渉では6000万円までが限界だと、強固に主張しました。
当事務所としては、この際、民事裁判に踏み切ることも提案しましたが、ご遺族としては、精神的負担などから、示談交渉で解決を図りたいとのご意向でした。
そこで、もうひと踏ん張り交渉で努力し、最終的には、6100万円(既払金治療費と過失相殺分を除く)で示談がまとまりました。
4.所感
死亡事故は、どれだけ賠償を受けたとしても、「解決」することはありません。命を奪われたご家族とは、もう話をすることはできませんし、それまでのご遺族の日常も、取り返すことはできません。
しかし、だからといって、適正額に満たない賠償額で、いい加減に示談を終わらせてしまうようなことは、あってはならない。私たちは、そう考えます。
遺されたご遺族が、適正な賠償額を求めて、加害者側損害保険や加害側弁護士とやり取りするのは、実際のところ、かなり大変です。そんなとき、当事務所は、被害者側の立場でご遺族をサポートすることができます。
死亡事故を元に戻すことはできないとしても、せめて、ご遺族が適正な賠償額を受け取ることができるよう、当事務所は、全力でサポートいたします。