休業損害とは
交通事故にあって怪我をした場合,怪我のせいでしばらくお仕事ができない,ということはよくあります。このような場合,お仕事を休んだことによって実際に収入が下がってしまいますが,その収入減少分を「休業損害」といい,加害者に賠償請求をすることができます。この場合,交通事故前に働いて得ていた収入と,交通事故による実際の減収とを比較することになります。
では,家庭の主婦(プロっぽく表現すると,「家事従事者」になります)は,どうでしょう。
主婦でも休業損害はもらえる
主婦の場合,交通事故前に収入を得ていたわけではありませんから,休業損害はゼロなのでしょうか?
そんなことはありません。それじゃあ,余りに不公平というものです。
交通事故の損害賠償の場面では,主婦は家族のために家事労働をしていたと評価してもらえます。具体的には,主婦の場合,交通事故前に,全ての女性労働者の全国平均賃金程度の収入を得ていたものとみてもらえます。例えば,平成24年では年収354万7200円とみてもらえるのです。和歌山で年収354万7200円を稼ぐのはなかなか大変ですので,ある意味,主婦は優遇されているのかもしれません。
家事の合間にパートをしているような兼業主婦は,どうなるのでしょう。兼業主婦の場合,パート等での交通事故前の収入が,全ての女性労働者の全国平均賃金未満であれば,専業主婦と同じようにみてもらえます。
主婦かどうかは,自分以外の家族の家事労働をしているかどうかで判断されますので,事実婚のカップルでも問題ありません。
じゃあ,主夫は?
主夫の場合も,立派な家事労動者ですから,主婦と同じようにみてもらえます。もっとも,男性労働者の平均賃金ではなく,女性労働者の平均賃金収入を得ていたものとみることになります。
では,交通事故による減収がどの程度あったとみるのでしょうか。サラリーマンの場合は,実際の減収がはっきり分かりますが,主婦の場合には,そうはいきません。結局,具体的な怪我の内容や程度を考慮して決めていくしかなく,損害保険会社との交渉のポイントになります。