1.事故発生
海南市在住の男性(20代)がバイクで交差点を直進中、左側道路から一時停止せずに右折してきた加害者運転の自動車に衝突されました。依頼者は、主治医により外傷性右肩腱板断裂、腰椎捻挫等の診断を受けました。
2.相談・依頼のきっかけ
依頼者は、通院終了後も右肩の可動域制限や、腰痛などの後遺症状が残り、後遺障害申請をしましたが、事前認定では、肩腱板断裂は画像上認められないとして非該当とされ、相手方損害保険より賠償額約49万円(既払い金と過失相殺分を除く)の示談提案を受けました。
依頼者は、右肩の可動域制限について後遺障害非該当との判断には納得できず、弁護士費用特約を使って異議申立をしたいとのことで、保険代理店より紹介を受け、当事務所に相談されました。
3.当事務所の活動
当事務所で、肩腱板断裂の画像上の判断は専門医でないと難しいところがあることから、異議申立の準備として、画像鑑定会社を通じて放射線科の専門医師による画像鑑定を依頼しました。
しかし、専門医の画像判断によっても、画像上では外傷性変化はなく、肩腱板断裂も認められないとされました。
依頼者も、別途、セカンドオピニオンの医師にも相談した結果、やはり後遺障害認定は難しいとのことでした。
そこで、少なくとも傷害部分について、できる限り裁判基準での賠償を受けられるよう、積極的に示談交渉を行いました。
4.当事務所が関与した結果
示談交渉の結果、依頼者も納得できる約93万円(既払い金と過失相殺分を除く)での示談がまとまりました。
5.解決のポイント(所感)
肩腱板断裂の後遺障害認定のポイントは、画像上で腱板断裂が認められることと、それが外傷性のものであることを証明することです。
もっとも、完全断裂であれば別ですが、部分断裂の場合、画像上での腱板断裂の判断は難しいことが多く、専門医の判断を求めることも少なくありません。
また、画像上で腱板断裂が認められたとしても、それが外傷性のものであることを証明するためには、事故から早い段階でMRI撮影を受けておくことが重要となります。MRI撮影が遅れてしまうと、腱板断裂が外傷性のものか、それとも経年性のものか、分からなくなってしまうからです。
交通事故で肩腱板断裂を負ったときは、早めに弁護士にご相談ください。